大企業で働くメリットと意外なデメリットとは?

大企業に転職するメリット・デメリット

就職しようとするときに、知名度のある大企業で働いてみたいと、だれでも一度は考えるのではないでしょうか。たとえば「一部上場企業」から採用内定通知がきたら、ほとんどの人が喜んで承諾するかもしれません。

安定した高収入に憧れる人もいるでしょうし、企業名がもつブランド力に魅力を感じる人もいるでしょう。とくに日本は、大企業志向が根強い社会です。

とはいえ大企業で働くことはいいことばかりではありません。メリットが多い反面、デメリットも少なからずあるのが現実です。

大企業への就職を考えている人は、メリットとデメリットの両方をよく知ったうえで、就職活動を進めるようにしてください。

大企業で働くことのメリット

経営体制が安定している

大企業には破産のリスクがほとんどありません。ゼロではありませんが、中小企業と比べれば、経営破たんの確率は圧倒的に低いといえます。

経営破たんの恐れがほとんどない会社で働けることは、一生の給与が安定して得られることを意味します。安定を望む人であれば、大企業に就職するか公務員になることに憧れるのは当然といえるでしょう。

近年になって、シャープやパナソニックといった大企業の業績悪化がニュースになったことはたしかです。突然リストラされて、安定した生活がいきなり暗転した社員もいたことでしょう。

それでもこうした大企業は、少しくらい業績が傾いても会社全体が経営破たんすることはありません。基本資金は膨大ですし、いくつもの投資によって資産は確保されているからです。

ベンチャー企業や中小企業の経営破たんは日常的におこっています。こうした危うさに比べれば、大企業がもつ安定感は計り知れないほど大きいことだけはまちがいありません。

福利厚生が充実している

すべてではないにせよ、大企業とよばれる有名会社では、社員向けの福利厚生が充実していることが多いです。

厚生年金や医療保険が完備されているのはもちろん、住宅手当を出したり社宅を用意したりする会社もあります。海外研修制度を導入したり、語学や必要な資格取得のための支援を行う企業も大手ではめずらしくありません。

福利厚生の充実度が魅力で、大企業で働きたいという人は多いはずです。

社会的な信用を得やすい

企業のブランド力が高いと、そこで働いているというだけで社会で信用をつかむこともできます。

たんに一般的なうけがいいというだけではありません。社名だけで信用されるので、名刺を1枚だせば、会社の外でも自分に必要な人脈を広げやすくなります。

安定した収入を得ているというイメージもあるため、大企業勤務という肩書は、銀行で融資を受けるときにも有利に働くこともあります。

ボーナスと残業代が大きい

大企業と中小企業では、基本給にはじつはあまり差がありません。社員の収入に差ができるのは、ボーナスと残業代の金額がまるで違うからです。ボーナスと残業手当の金額差が原因で、大企業と中小企業の社員のあいだで年収に大きな格差ができてしまうのです。

一流企業の社員がかなりのボーナスをもらうのはよく知られています。中小企業でも社員にボーナスはもちろん出します。ですがその金額に比べれば、大手企業の社員がもらうボーナスはまさに破格でしょう。

もちろんキャリアを積むごとに、大企業の社員はボーナスの大きな増額も期待できます。中小企業では、どんなに経歴を積んだ社員に対してでも、大企業並みのボーナスは払えないでしょう。

労働組合が確立されている大企業では、社員に対する残業代の支払いもほぼ確実に行われます。それもけっして小さな金額ではありません。

残念ながら中小企業のなかには、残業してもその分の給与が支払われないところもあります。いわゆるブラック企業ですが、ベンチャー系や中小規模の工務店などでは、社員にこうした負担をかけているところがあるのも事実です。

ボーナスと残業代の収入を考えると、大企業に勤めることがいかに有利がかわかります。

休暇を取りやすい

大企業では、休暇をとるのはそれほぞむずかしくありません。

もちろん、いつでも休めるというわけではありません。たとえば重要なプロジェクトのリーダーを務めているときなどは、一段落つくまでは休暇は簡単には認めてもらえないでしょう。

しかし一般的には大企業では、社員の長期の休暇や突然の病気欠勤にも寛容な傾向があります。その理由は、社内のバックアップ要員の多さです。

大企業では、どの部署でも多くの社員が働いています。1人が休むくらいなら、その分の穴埋めは簡単です。部署内のほかの社員でそれを分担すればいいからです。

これに対し従業員の少ない中小企業では、1人の欠勤が業務に大きな影響を及ぼします。そのためなかなか休暇を取れないのが、こうした会社で働く人の悩みのひとつでしょう。

社員の健康に配慮した労働時間や休暇制度

社会的な影響力も高い大企業では、社員の健康の維持に力をいれる傾向があります。体の限界をこえるような労働を強いることは、社員の健康を害することにつながるからです。

大企業では、社員の労働時間は適正範囲に収めています。また心身をリフレッシュさせるために、定期的に長期休暇をとれるようにも配慮されています。産休制度だけでなく、育休や介護休暇制度を導入する大手企業も増えてきました。

もしも長時間労働を強いると、それが原因で過労死する社員がでるかもしれません。さらにそれが労災認定されたりしたら、企業イメージは計り知れないほど失墜することになります。築き上げた企業ブランドを維持するためにも、大企業ほど社員の労働条件の管理をしっかり行っているのが現実です。

わずらわしい人間関係に巻き込まれにくい

大企業では、職場内の人間関係に悩まされることがあまりありません。

もちろんどんな会社でも、人が集まる以上は人間関係の問題は発生します。それは大企業であっても同じです。同じ部署に性格のあわない人がいたり、上司との折り合いが悪かったりして悩む社員は、大企業内にも当然います。

ですがほとんどの大企業では、ジョブローテーションという制度を導入しています。一定期間ごとに部署を変えさせることで、幅広いスキルと経験をもてるように社員を育成するのがジョブローテーションです。

この制度が導入されていれば、たとえ身近にわずらわしい人間関係が発生していても、それはいずれは解消します。問題になっている関係があっても、そのなかのだれかがジョブローテーションで遠からず部署を移動させられるからです。

ジョブローテーションには、部署内の風通しをよくするという働きもあります。定期的にメンバーを刷新することで、同じ顔ぶれで長期間働くことによる息苦しさやなれ合いを解消する効果も期待されています。このおかげで、大企業では人間関係の深刻な悩みはおきにくいのです。

これに対し、社員数の少ない中小企業内では、ジョブローテーションはまず導入できません。一度配属されたら、同じ部署内で同じメンバーで何年も働き続けることになります。

うまくいっていれば問題はありませんが、人間関係のもつれが一度おきたら、それが深刻化しやすいのは中小企業の方かもしれません。

勤め先の企業に対して誇りがもてる

かなりの大企業勤務であれば、社名をだすだけで社会的な信用を得ることも比較的簡単です。勤め先の知名度が高いと、自分のプライドを満足させることができます。

働く以上は、自分の職場に誇りをもてることがベストです。それが労働へのモチベーションアップにつながり、よりよい人生への活力にもなるからです。

誇りさえもてるのであれば、会社の規模はたしかに重要ではありません。自分がプロジェクトの中心になって心血を注いでいるような場合は、たとえ中小企業勤務であっても、その会社に大きな誇りをもてるでしょう。

ただブランド力が大きい分だけ、大企業勤務の人は自社に大して無条件にプライドを感じられる傾向があります。

仕事の重要度に関係なく安定した給料が保証される

大企業では、ほとんどの業務はシステム化されています。こうしたなかでは、1人の作業効率の低下が、全体の業績に影響を与えることはまずありません。

極端な言い方をすれば、大企業では、本当に優秀な人はほんの一握りで、半数以上の社員はルーチン化された仕事をこなしているだけだともいえます。

優秀さを発揮できない人には、重要な仕事を任されることはないかもしれません。ですが、とくに重要なプロジェクトを担当しない人でも、生涯にわたって毎月安定した給料を受けることができます。

ハイキャリアが欲しければ、当然スキルアップに励む必要があります。ですがそうしたことにまったく興味がなければ、与えられた仕事を堅実にこなしているだけでもかまいません。どんな生き方を選ぼうと、生活と給与の保証をされているのが大企業の社員です。

人材育成のための研修制度が充実

大企業では、社内の人材育成用サポートが充実しています。意欲のある社員のためには、大企業は援助を惜しみません。

将来必要と思われる資格があれば、それを学ばせるための費用は会社が負担します。国内外の識者を招いてのセミナーや勉強会もあり、社員であればすべて無料で参加できます。

将来の海外勤務を希望する社員には、語学スクールでの勉強の費用を会社が負担することもあります。

こうした研修サポートのおかげで、社内でのキャリアアップはもちろん、個人的なスキルを磨くことも可能です。こうして得た強みを生かして、優秀な人はいずれほかの大企業へ好条件で転職を果たすこともあります。

潤沢な資金を背景にした、こうした充実の研修サポート体制は、中小企業ではまず望めません。

スキルアップのために勉強をするとしても、そのための費用は社員の自己負担であることがほとんどです。

会社がセミナーを準備してくれることもありますが、それも大企業が開催するような大規模な催しではありません。

経済的な負担を気にせずにキャリアアップのための勉強に励めるのは、大企業の社員の特権といってもいいでしょう。

世界規模で展開するプロジェクトに関わることができる

グローバル企業に勤めていると、世界規模の大きなプロジェクトの一員になれることもあります。こうしたプロジェクトに参加することで、ハイレベルで最先端のスキルを身につけることができます。

うまく成果を残すことができれば、さらに次のプロジェクトにも呼ばれることもあるでしょう。こうして仕事の好循環が生まれます。

中小企業でも、こうしたビッグプロジェクトの受注をとれることはあるでしょう。しかしその確率は高いとはいえません。まして政府が関わるようなプロジェクトになると、ほぼ間違いなく大企業へ依頼されます。

大企業に勤める人のほうが、大きなプロジェクトに参加できる機会はまちがいなく多くなります。

分業体制なので効率よく仕事ができる

社員数が多い大企業では、ほとんどの仕事は分業体制で行われます。

このやり方だと、1人のミスが大きく影響するリスクを避けることができます。経験の浅い新入社員でも、安心して業務に参加できるメリットもあります。

仕事をしながら、先輩や同僚から必要なスキルを新人が学ぶことも可能です。社員教育と実務が同時進行するので、信貴との効率があがります。

それに対し、社員数の少ない中小企業では、部署によってはぎりぎりの人数で業務を行っています。分業するほどの人手がないため、1人ひとりの責任が重くなります。1人がミスをすれば、業務全体に影響が及び、ときには作業効率が大きく下がることもあります。

プレゼンテーションなど仕事の基本が身につく

大企業で働くと、仕事をするうえで必要なスキルが身につきます。

たとえばプレゼンテーションです。

プロジェクトに参加すると、多人数に自分の考えを伝えなければいけません。必要な情報を、要領よくまとめて正確に伝える技術は不可欠です。

資料の作り方やプロジェクターの活用法も学ばなければいけなくなります。大企業で仕事を始めると、大勢を前にこうしたプレゼンテーションをする技術をしっかりと教え込まれます。

こうした技術は仕事の基本ではありますが、中小企業で働いていると意外と身につきません。小規模グループで仕事をしていると、きちんとしたプレゼンテーションをする機会もほとんどないからです。

新入社員のうちからこうした経験を積めるのは、大企業に勤めていればこそでしょう。こうしたスキルがあれば、キャリアアップの転職もスムーズにできます。

大企業へも中小企業へも転職の可能性が広がる

新卒のときに大企業へ入社することは、ある意味人生が出世モードにはいったことを意味します。いずれ転職をすることになったとしても、自分にとって有利な条件で会社を選ぶことができます。

さらなる高待遇が期待できるほかの大企業へ転職する人もいますし、役員待遇で中小企業へ迎えられる人もいます。大企業で勤めていたという実績と肩書は、その後の人生に大いにプラスに働くといっていいでしょう。

新卒時に中小企業へ入った人にも、いずれスキルを磨いて大企業へ転職するという道は残されています。ただしその道のりは簡単でないことはたしかです。大企業へ転職したいのであれば、よほど優れた実績を作るか、ニッチな分野で注目されるようなスキルを身につけることが必要でしょう。

いつでも安定した仕事がある

大会社は大きな社会的信用があるため、いつでも安定した仕事の受注があります。営業部ががんばらないと、来月の仕事がなくなる心配がないのが大会社です。

もちろん大会社にも、多少の業績の低下はおこります。とはいえ、それが原因で、社員の日常の業務が減るということはほとんどおこりません。業績のが少しくらい悪化しても、それが大規模なリストラに結びつくことは大企業では稀です。

小規模ベンチャー企業、中小企業、個人事業などは、仕事の受注の増減は会社としての死活問題に直結します。

業績が伸び悩むと、経費削減のためにリストラもすぐに発生します。大企業のような安定感は、中小企業にはまずありません。

男性社員は婚活市場で人気がある

大企業勤務というブランド力は、男性社員の価値を大いにあげます。これは、婚活市場でとくに威力を発揮するでしょう。女性が結婚相手に求める、高年収や安定感などの条件を、大企業勤務の男性なら備えている可能性が高いからです。

もちろん中小企業勤務でも、将来的に出世する男性はいます。個人事業主でも、大企業の社員より高い年収を得ている男性もいるでしょう。

それでも一流企業の名を聞くと、興味をもつ女性は多いはずです。家庭をもち、長期的な関係を築くうえで、一流企業によって保証される収入の安定性はとても魅力的だからです。

性格や個人的魅力も合わせて判断されるので、大企業勤務の男性ならいつでも簡単に結婚相手が見つかるわけではありません。とはいえこうした男性が、婚活市場では優位な立場にあることはまちがいないでしょう。

大企業で働くことのデメリット

希望の部署で働けるとは限らない

どの部署に配属されるかは、人事部の意向によって決定されます。希望を出すことはできますが、それが叶えられるとは限りません。大企業では人事の決定権が大きく、各自が希望の部署で働けるとは限らないのが現実です。

とくに近年は、ジョブローテーション方式を採用する大企業が増えてきました。これは、社員を特定の部署にずっと配属するのではなく、いろいろな部署を短期間で回すというやり方です。

しかしジョブローテーションを持ち込まれると、社員は自分の好きな仕事に集中することはできません。営業が好きで、適性があると実感できていても、人事から移動の通告がくればそれに従って別の仕事に就くことになります。

希望の部署に配属されない日々が続くために、仕事にやりがいを感じられなくなって辞めていく若手社員もじつは少なくありません。

転勤の辞令を断れない

大企業に勤めていると転勤の可能性はつねにあります。広く展開する企業であれば、全国各地あるいは世界各国に支店をもっているからです。

将来の出世ルートに乗っているエリート社員であれば、若いころから数年ごとに転勤の辞令を受けるでしょう。

転勤の話を断るとしても、原則としてそれが認められることはありません。大企業では人事部の決定権はとても大きいからです。

体調がよくないなどの本人の健康上の理由があれば、人事もそれは考慮してくれるかもしれません。とはいえそれでも、時間が経てばまた別の転勤を言い渡されるでしょう。

エリート社員として大企業に勤めるのであれば、転勤は避けることはできません。家族とともに引越しを繰り返すのか、単身赴任をするのかを選ぶ日がかならずきます。

気の合わない上司の下に配属されることもある

大企業では、人事部の決定権が強力です。どんなに性格の合わない上司のもとであっても、人事が配属を決めれば社員はそこで黙って働くほかありません。

転勤についてであれば、社員も自分の都合をある程度は訴えることもできます。それが認められれば、転勤の辞令が取り消されることもあり得るでしょう。

しかし社内の部署移動については、社員本人の異論を大企業の人事が認めることはまずありません。好きになれない上司がいる部署だとしても、社員はそこで働かざるをえないのが現実です。

それに対し中小企業では、社員が部署をある程度選べる傾向があります。勤務したい部署を願い出れば、それを聞き入れてくれる会社も少なくありません。

小規模な企業では社長や上司と一般社員との距離が近く、人間関係もとても緊密です。揉めごとが起きるリスクを選ぶより、上司と相性のいい部下を組ませることを人事部も選ぶのでしょう。

少人数プロジェクでは人間関係の悩みがおこることもある

人間関係が楽そうに見える大企業でも、思わぬ落とし穴があります。少人数のプロジェクトが企画されることの多い企業では、人間関係に悩む社員もたくさんいます。

大企業でも、少人数で行う企画やプロジェクトを立ち上げることがあります。それらのメンバーを決めるのは上司です。

たとえ気の合わない同僚といっしょであっても、プロジェクトの終了まで部下はその業務を遂行することが求められます。

大企業は社員数が多いため、ひとつの部署にたくさんの人が配属されるのが普通です。こうした環境では、好きになれない同僚が1人くらいいても、たいした問題にはなりません。

しかしある企画がもちあがり、そのメンバーに選ばれると事情が変わってきます。特定の人間と毎日何度も打ち合わせを行い、連絡のやり取りをしなければいけなくなります。たとえ嫌な同僚がいても、逃げることもできない日が続きます。

暇な時期はあまりないが多忙な時期はよくある

社会的信用度の高い大企業ともなると、多くの取引先をつねにかかえています。そのため、大企業の社員にとっては、業務が極端に減ることはありません。逆に納期が重なったり、処理する事案が増えたりすると、一気に業務が増えることはよくあります。

安定して仕事があるのは、たしかに大企業勤務の強みではあるでしょう。

しかし月末に残業が続いたり、休日出勤を強いられたりすることも大企業ではめずらしくありません。暇を感じられない時期が続くと、疲れてしまう人もあらわれます。大企業でやり抜くには、ある程度の強靭な体とメンタルも必要です。

さまざまな性格や個性をもった同僚と仕事をしなければいけない

大企業とは、いろいろな性格の人たちが集まって働いているところです。さまざまな部署に配属されたり、いろいろなプロジェクトに参加したりするようになると、馴染みのない性格の同僚と仕事をしなければいけない機会も当然あります。

たとえば経理や総務など、文系寄りの部署で働いてきた人にとっては、IT企画などの理系寄りの部署の人と共に仕事をするのは簡単ではありません。資料作成やプレゼンテーションの仕方など、ビジネスの基本がすでに異なるからです。

こうした経験を経て大企業の人材は作られます。しかし慣れない人間関係やスキル習得に次々とチャレンジさせられるのは、社会経験の浅い社員にとってはかなりストレスも強いといえそうです。

業務が非常に保守的で慎重

歴史のある大企業はとても保守的な体質をもっています。顧客の信用を非常に大切にするため、既存の利益構造を守り、変化を嫌う性質もあります。悪いことではありませんが、この体質のせいで大企業の業務はいつも緩慢です。

なにか新しい企画を立ち上げるときには、社員は大きな手間と時間をかけなければいけません。社内調整もとても念入りです。

何重もの慎重で煩雑な手続きを踏まなければ、新しいことはなにも進みません。何種類もの書類を作り、何人もの上司に印鑑をもらい、それで企画はようやく少し前進します。

物事を進めるスピードだけならば、中小企業のほうがよほど優れているでしょう。オーナー企業の場合など、社長の決断ひとつですべての手続きが一気に進みます。

慎重であることは、大企業のいい面であると同時に悪しき面でもあります。なかにはやりがいを感じられず、退屈に思う社員がいることもたしかです。

下位の部下の意向はけっして反映されないシステム

ほとんどの大企業では、部下の意向が業務に反映されることはまずありません。提案をしても、上司が修正を求めれば部下はそれに従うだけです。その上司もまた、さらに上部の管理職の人からの要求に従って動いています。

大きな希望をもって入社してきた社員のなかには、こうしたシステムに失望する人もいます。ベンチャー企業によくある革新性やチャレンジ精神などは、大企業のなかで感じることはむずかしかもしれません。

ほかの大企業へ転職できる社員はほとんどいない

新卒で大企業へ入社し、40代あたりまでそこで勤務をしてきた人は、ほかの会社へ転職することはほとんどありません。

ひとつの理由は、その企業のやり方に馴染んでしまった人は、ほかの会社で働きたいとはあまり思わなくなるからです。

もうひとつの理由は、他社から引き抜かれるほどずば抜けて優秀なキャリアをもつ人はほとんどいないからです。

一流とよばれる歴史ある企業には、それぞれの個性や経営方針があります。新卒で採用された人たちは、20代からそのやり方を叩き込まれて成長するわけです。

他社がそうした人材を欲しがることはほとんどありません。一流企業の社員自身もまた、40代になってから職場環境を変えてまで転職したいとは考えないものです。

大企業社員がほかの大企業へ転職するのは、ヘッドハンティングで引き抜かれる場合でしょう。群を抜いて優秀なキャリアと能力をもつ人であれば、たいへんな好条件で他企業が転職の誘いをかけることがあります。とはいえ引き抜かれるのは、ほんの僅かな人材にすぎません。

大企業では、ほとんどの社員はそこで停年までの年月を勤め上げます。終身雇用制が崩壊したとはいわれても、大企業ではいまだにこの保守的な体制が強く残っています。いいかどうかは別にして、これは大企業の大きな特徴でしょう。

業務にはじつは無駄も多い

組織が大きい分だけ、大企業内の業務は煩雑になりがちです。業務によっては、同じ内容の書類を何枚も作らなければいけないこともあります。

整理をすれば無駄を省けるとわかってはいても、すでにシステムが固定化されているため、多くの社員は余計な時間をそうしたことのために使わなければいけません。

中小企業では、社員に無駄な時間を使わせる余裕はありません。少ない社員数で利益をあげなければいけないため、効率化を目指して業務の改善が頻繁に行われます。

大企業へ入社をすれば、効率のよくない運営が行われている現実を目にするかもしれません。

大企業でも破たんする危険と無縁ではない

大企業の魅力は、なによりもその安定性にあります。有名な大企業へ一度就職すれば、定年までポストと収入が保証されるとだれもが考えるはずです。大企業への就職を目指す人が多いのは、中小企業にはない安定性をそこに認めているからでしょう。

しかし昨今では、大企業といえども経営破たんのリスクがゼロとはいえません。リーマンショック級の経済危機がおこれば、一流とよばれる企業でもどうなるかわからないでしょう。経営破たんまでいかなくても、大きな経営悪化は十分起こりえます。

こうした危機に直面したとき、大企業社員といえども、リストラされる可能性は十分あるのです。

成果をあげても年収は増えない

大企業は基本的に年功序列制です。多少の差はあっても、同時期に入社した人たちは、みな同じようなペースで出世していきます。年齢が高くなるほど上級の役職につき、同時に年収もあがるシステムです。

このようなシステムのなかでは、ひとつのプロジェクトで成果をあげたくらいでは、昇給にはまったく結びつきません。

大企業では、年代ごとに昇給の上限はだいたい決まっています。20代では上限が500万円、30代では700万円というふうに、おおよその年収額が定められているのです。この枠を超える報酬を得ることは、大企業のなかでは非常にむずかしいでしょう。

努力して成果を出しても、昇給という形で報酬が与えられないのが大企業の現実のひとつです。

安定して給与がもらえるので危機感をもてない

業績が少々落ち込んだくらいでは、大企業の社員にはなんの影響もありません。給与は安定しているし、周囲ではリストラもおきないはずです。

業種によっては、リーマンショック時でさえ、社員にはボーナス額が少し下がった程度の影響しかなかった会社もあったほどです。大企業に勤める社員は、それほど大きな経済的安定を享受しています。

しかし逆にいえば、経営がひどく悪化していても、大企業の社員はその現実になかなか気づけない可能性もあります。本当に深刻な問題は上層部で処理されてしまうでしょう。

危機感をもったことのない大企業の社員は、リスクに立ち向かう準備がまるでできていません。

今後は出世がなかなかできなくなる可能性が高い

高齢化社会の到来で、ベテラン社員の方々が上級ポストを長く独占する時代がはじまっています。その結果、中堅以下の年齢層の社員たちは、出世が遅れる傾向があります。

問題なのは、出世は昇給に影響するということです。以前のように出世できなければ、40代、50代になっても低い年収のままにとどまるかもしれません。

大企業勤務と聞けば高収入をイメージするものですが、エリート会社員にも意外と厳しい経済的現実があります。

動きだしたプロジェクトは修正できない

大企業でプロジェクトがスタートすると、よほどのことがない限り修正も中止も許されません。上層部で決定されたプロジェクトに、下位の部下が意見をはさむことは原則ありえないからです。

こうすればいいのではないか、こうした改善を盛り込むのはどうだろうかという意見があっても、メンバーのそうした考えが反映されることはほとんどないでしょう。

すべての大企業が、こうした硬直した社内関係をもっているわけではありません。とはいえ組織が巨大になればなるほど、現場の声が上層部に届きにくくなるのは事実です。

損失がでたときにも責任をとる人はっきりしない

少しの損失がでたくらいでは、大企業内ではその責任者を追求しようとはしません。責められないわけではありませんが、あくまで担当部署全体の責任という形で決着します。

責任の所在をあいまいにしてしまうのは、大企業のよくないところのひとつです。

もしも大きな資金を動かす大規模プロジェクトを興せば、失敗すれば、数千億円規模の損失につながることもあります。

こういう事態がおきれば、会社に対して、そして社会に対してだれが責任をとるのを追求しないわけにはいかなくなります。

責任者をいつまでも明らかにできないでいると、企業のイメージはまちがいなくダウンするでしょう。

大企業特有の責任所在のあいまい体質は、ときに社会の厳しい目にさらされる可能性も十分にあります。

まとめ

大企業に勤めることにも、メリットとデメリットの両方があることを指摘しました。知名度が高く、憧れの的でもある大手企業も、社員にとってはけっしていい面ばかりではありません。

メリットとデメリットのどちらが自分にとって大きいのかを、よく考えてみてください。自分にとって重視すべきものが見えてくれば、就職活動で大企業を目指すべきがどうかもわかるでしょう。

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